決意が試される時
- Mari Okazaki

- 30 oct. 2021
- 10 min de lecture
Dernière mise à jour : 6 janv. 2022

早いもので、フランスに帰ってきてから半年が経った。約 2 年もの間会えなかった家族、友達に再会できたのは素晴らしく、パリは相変わらず汚くも美しく(笑)、楽しいこと、いいこともいっぱいあるのだけど、誰にも気を遣わないでいいとしたら、これだけは言わせてくれ...。
正直、トラブルだらけで、フランス生活に再度適応するのが大変だぜ!私も夫も😂
夫は昔、日本に対してこのようなことを言っていた。「日本はちょっと、、なんか完璧過ぎて。フランスに比べてカオス度が足りない」。それが、2 年東京に住んだらどれだけ自分の国がちょっとカオティックがやっと分かったらしく、顔面蒼白しながら時々「ここは本当の国じゃない....... なんて国だ!終わってる!問題の方が多い!!」などと叫ぶようになったので、横で見ていて本当に面白い。やっと気づいたの?と。ここ、あなたの生まれ育った国ですけど...。カオス度が足りないって、昔言ってなかったか?と。
例えば、家から歩いて駅に行き、電車に乗ってパリへ行くだけの道中でも、最低 5 つはイラっとすることがある(笑)。きちんとマスクを付けない人々を目撃する(鼻まで隠してくれやー)、だらしのない格好でこちらを睨みつけてくる人に出くわす、割と混んだ車内で、通路に立ちはだかり通してくれない人にぶち当たる、ただ歩いて乗り換えに行きたいだけなのに、ぶつかってくる人・からんでくる人、歩きスマホに夢中で、自分の背後がどれだけ詰まっているか気にも留めない人、などなど.....。言い出すとキリがない!!
夫はこうも言っていた。「東京では、電車に乗ってぼーっとポッドキャストでも聞いていれば、必ず目的地に着いたからよかったなぁ」と。最初これを聞いた時は「何言ってんの、この人w」と思ったものだが、今ではその理由がよく分かる。フランスでは、駅に行くと時々全然電車がないか、それもなんでないのか理由さえ誰も分かっていないことがザラにある。そして目的地までの道、通るエスカレーターの 1 つは必ず壊れているし😂、なんなら次の日もまだ壊れているし、駅の案内掲示板が全部ついて、機能していることも稀だ。目的地まで辿り着くのが、こんなにも難しいこととは...😂
しかし、これだけ問題が多いと、不思議と他者に寛容になれるもので、多少の遅刻は許し、許されたりと、他人の落ち度に怒らない、大きな気持ちになれる、と言うこともできる。ポジティブ、ポジティブ。
あと、現在進行中の問題としてはですね。5 月に自宅へ戻って、また住み始めてからというもの、子ども部屋の壁が青ずみ、なんかおかしかった。完全に嫌な予感しかしない。この壁の向こうは外と、隣の家のキッチンがあるはず。キッチン=水回りである。まさか... そう思って、取り急ぎ建物の管理組合やら保険会社に連絡してみると、保険会社から派遣された調査員のおじさんは、アパートの屋根まで登り、原因を突き止めてくれた。それは...
私たちの子ども部屋がある外壁の位置に、ちょうど雨水を排水する受け皿のようなパーツが付いているらしいのだけど、そこを屋根から見ると、なぜか中が詰まっていて、横へ走るパイプへきちんと排水がされず、溜まった雨水や水分が、中の壁をつたって入り、内側からカビが発生している、ということだった。簡単に書いただけでもどれだけタチの悪く、最悪な問題かお分かりいただけるだろうか。どおりで被害に遭っているのがうちの壁だけだったはずである(隣と真上の部屋を見せてもらいに行った)。しかも、春先はけっこうな大雨が降る嵐が何度かあったりしたので、その度に水分は、壁の中へと入っていったのである...
まぁ最初にこの異常な状態に気づいてから、さすがにこの空間の中で大事な子を寝かせるわけにいかなかったので、速攻私たちの部屋に子のベッドを動かし、対応していたのだけど、そうこうしていたら保険会社が「まずは壁を乾かさないと、ペンキも塗れません」と教えてくれて、なんと我が家には、壁を乾かし、湿気を吸い込むための、巨大乾燥機が送られてきた。
これは、大きくて四角い機械で、幸い、音はそんなにうるさくはないのだけど、四六時中付けっ放しにして湿度を吸い込むため、この間の電気代は保険会社がちゃんと返金してくれるそうである。ほっ。そして時々、中のタンクを抜いて、吸い込まれた水分を捨てて、再度設置し、稼働させておかなくてはならない。その作業を始めて、早数ヶ月... 途中何度も、経過確認のため調査員のおじさんが見に来てくれているのだけど(昨日もいきなりやって来た。訳が分からない)、毎回、「うーん、まだまだだね、あと 25 パーセント」と、終わりの見えない状態である。しかも、巨大乾燥機はエレベーターに入らなかったので、男性二人で階段を通ってここ 4 階まで運んできてくれたそうである。若干共用部分というセンシティブな部分、階段周りの壁に、無理やり押し込んだのだろう、傷がついているけど。。まぁいい。下で受け取って、「あとは自分でお願いします☆」と言われなかっただけ、有難いのだから。
というわけで、もう何ヶ月も、部屋が 1,5 個足りない状態で生活しているので、大人はリビングのソファベッドで寝ているし、そのすぐ横に子どものベッドも持ってきているしで、まったく美しくない、片付いていない!簡単にいうとかなりディザスターな状態で生活しているので、マインドにもよろしくない。ということで、ほとほと疲れているのが現在。
ペンキを塗れる日は一体いつ...... 年内に来るのか。秋冬は雨も多いし、なんだか一生終わらないような気になってくる。辛い。よく家のリフォームや工事をする友達が、「家の中がめちゃめちゃ... 業者が入ってくるから防犯にも気を使わないといけないし、大変!」と言っていたのはこういうことだったのかと... 今になってよく分かった。
フランスで心穏やかに暮らすのは、なんと難しい... と思っていたら、それはまだまだ終わりじゃあなかった。斜め上を行く新たな問題が発覚したのである。それはおとといのこと。
その日は、火曜日の午前、お昼前。私は書の仕事を頼まれていたので、カーヴに片付けておいたかな用の硯と、文鎮を取りに行こうとした。いっぱい持っているので。
ちなみにフランスに帰ってきてから、カーヴに行くのはもう数回目である。
『こないだ確か、書道用品はここにまとめて片付けておいたはず...』そう思って棚を見ると、棚の上に無造作に文鎮が置かれ、墨汁が入った大型ボトルは逆さまの状態で投げ出されているわ、入れておいたはずの袋さえなくなっていた。
これはおかしい。墨汁のボトルを逆さまにして置いておくなんて、私では絶対にしない。夫は最近カーヴには来ていない。ふと、視線のすぐ左側にある、以前プレゼントでもらったボルドーワインを数本入れておいた箱、それもいざという時のために警戒して、カタカナで「ワイン」と書いておいた箱に手を伸ばすと... 綺麗さっぱり、中身がなくなっていた。やはり、である。
3 週間前に来た時は『これワイン入ってるから危ないな』と思い、『でも他に置くとこないし、どうせカーヴ来るの私だけだから、このままでいっか☆』と思った記憶があるので、なくなるはずがない。だけど、なくなっている。ご丁寧に箱は上下逆にひっくり返されてもいた。
しばらく「誰かが盗んだらしい」という事実に脳内処理が追いつかず、頭が真っ白になったけど、状況が理解できてからというもの、恐怖と怒りでいてもたってもいられなくなった。速攻オフィスにいる夫に電話するも、カーヴの入り口の南京錠が壊されていなかったので、「どうやって入ったの?本当にワインなんかあった?」とか言って、まともに信じてくれなかったので、そこでまた怒り急増。
「3 週間前はあったの!私、中確認してたの!それがもうないの!モノプリの袋もないの!それに入れて運んだんだと思う!」
散々言うと、「ワインなんかどうでもいいよ、どうせ警察に言ってもろくに取り合ってくれないんだから、時間をロスするなよ。頼むから被害届出したりしないでくれ」と、忙しいフリーランスである私のことを気遣ってくれたのだろうか、でもこちらは然るべきところへ届け出ないと、収まるものも収まらない。
ものすごく面倒くさかったけど、すぐに保険会社へ電話し、事情を説明し、書類を作ってもらった。新しく買う南京錠は、なんと保険でカバーしてくれるそう。概算でいいので、盗られたものの総額を出してと言われた。
そして警察の方は、なんとネットで "被害届(前段階)" なるものを出せるようになっていて、ちょっと感動したね。フランスも私がいない間に進んだじゃないかと。しかし今時珍しいレイアウトのダサいフォームだったので、やっぱり昔からあったのかもしれないし、全然連絡はくれないしで、何の捜査もされなさそうな予感。
まぁいい。しかし納得がいかないのは、南京錠が壊されていないのに、どうやって中へ入ったのか?である。忍者なのか。
私たちは全体で 20 戸くらいの小規模アパートに住んでいるので、大体の人を知っているし、昔は毎年 6 月にご近所パーティーをしたこともあったので、顔見知りなのだけど、そのため、何かあると注意喚起のために、下のホールの壁へ、貼り紙を出す習慣がある。私も早速書いて、プリントアウトして(プリンター持っててよかった!)、貼り出した。
今朝になって、管理組合の責任者であるムッシュがやって来た。「貼り紙見ましたよ。それで今カーヴを見に行ったんですけど、どうして入られたのか分かったので、今ちょっと一緒に見に来てくれませんか、すぐ終わります」と言うではないか。私は緊急に飛び込んできた日本との仕事を終わらせて、パリへ出かける用事があったのだけど、こちらも大事なので一緒に行ってみることにした。このムッシュは長年このアパートに住んでるだけあって、どこが誰のカーヴなのかさえ、熟知していた。
私たちの家のカーヴまで来ると、「ほら見て」と。もう唖然とするしかなかった... だって鍵、もげてるんだもん!!😂


(ちなみにこの写真は、興奮状態の私が夫へ送りつけるため薄暗いカーヴの中でフォーカスや構図などを一切考えずに撮り、それを見かねたお父様が加工して明るくしてくれたものですw)
南京錠の意味なし!壁のセメントからもげとる😂
というわけで、鍵がこんな状態なら子どもでも押せば入れるよ。ということで、華麗に原因が判明したのであった... ちなみに現在、カーヴ床をいよいよ土壁からセメントにすべく、業者が通っています。なのでありとあらゆる通路のドアが、日中開きっぱなしだった☆
どうせいつ飲むかも分からない、しかもよろしくない縦置きにしたままのワインたちだったので、まぁいい。数年前、ボルドーへ移住した義姉がくれたもので、この辺では買えないローカルワインだったのが痛いが... それより痛いのは、なぜかなくなっている私の書道用の、下敷き(それも大判)である。これは、6 月にイベントでの仕事を頼まれて、片付けをした時、小さなスーツケースに入れておいたのだけど、このスーツケースがどうしても見つからないのだ。
思うに、おそらく数回に分けて盗まれたと思う。泥棒もまさか書道用の下敷きが欲しかったとは思えないけど(いや、欲しかったのかな?笑)。あれは以前、先生に譲ってもらったいい毛氈の下敷きなので、なくなるとマジで痛い。買うと高いのだよ。しかも全紙サイズ... フランスでは買えん!モンマルトルの布市場で売ってるウール生地とも違うのだ!どうしてくれる!その辺に捨てるんだったら返してくれ、マジで!
という感じで、フランスで心穏やかに暮らすのはなんと難しい... (二回目)。はやくも決意が揺らぎそうである。東京はよかった...。一度なんか、日曜日にトイレから水漏れがしたのだけど、管理会社に電話すると、オペレーターの女性がきちんと電話に出てくれるし(フランスはまずそこから怪しい)、1 時間後には修理する方が来てくれ、支払うものは何もなかった。しかも、聞くとなんとその方も小さい子がいるパパというではないか。家族で過ごすべき日、日曜日にですよ。これを聞いて私はかなり心が痛く、申し訳なくなってしまい、『何か、、、!!何かプラスのお礼を!!』と、しかし家には缶コーラしかなく、「本当にこんなものですみません...!」と言って丁重にお渡ししたのを覚えている。
日曜日に赤の他人の家のトイレを速攻直しに来てくれて、それも料金が発生しないとは、これはどんなフランス人にとっても、まず衝撃的だろう。夫もかなり感動していた。
まったくまりちゃんたらネガティブなことばかり書いてー、と感じられたら申し訳ない。私たちなりに、一生懸命適応しようとしているのだけど、こうもトラブル続きなので参っている😂 次は一体何が起こるのだろうか。もうコンテンツとして楽しむしかない(嫌だ)。秋になってから子は、同じクラスのジェームスくんに顔を引っかかれてライオンキングみたいになったり、はたまた喘息が発覚したりと、不安なことだらけだけど、楽しく幼稚園へ通っているし、たくましく暮らしていくしかない。
あっ、今日も全然小見出しが付けられなかった.....






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